あなたはどのくらい本を読みますか? 昔はよく読んだけど、今や仕事や家事に追われて全く読まなくなってしまった人も多いのでは。活字離れが進むなか、「休日の読書」にぴったりの本を紹介し、改めて読書の魅力を再発見するためのコラム。今回は〈Patagonia(パタゴニア)〉の新刊『フェザントテイル・シンプリシティ』。
手軽で便利なギアが溢れる今の時代だからこそ、ひとつの道具を徹底的に使いこなす姿は、どこか自由で、とても格好よく映ります。パタゴニアが新たに送り出す一冊『フェザントテイル・シンプリシティ』は、そんな「道具に頼りすぎない贅沢」を教えてくれる一冊です。
かつて『シンプル・フライフィッシング』で世界に衝撃を与えたイヴォン・シュイナードをはじめとする3人のレジェンドが、長い年月の果てに辿り着いた境地。それは、たった1種類の鳥の羽根だけで魚たちと向き合うという、驚くほど潔いスタイルでした。
物語の主役は、オスのリングネック・フェザント(キジ)の尾羽根。それさえあれば、市販の膨大なフライ(毛針)にも負けない、バリエーション豊かな世界が作れると彼らは説きます。3人の合計キャリアは実に200年以上。膨大な経験を経て導き出された18のフライパターンは、あれもこれもと欲しがる私たちの物欲を、心地よいリズムで削ぎ落としてくれます。専門化しすぎた道具の代わりに、自らの技術と知識を磨いて遊ぶ。そんなミニマリズムの真髄が、美しい写真とともに綴られています。
ページをめくると、単なる解説に留まらない奥行きのある景色が広がります。モンタナの清流からカリブ海の海辺まで、世界中を旅してきた彼らの体験談は、読む人を一瞬で日常の喧騒から連れ出してくれるはず。
紙面にあるQRコードをスマートフォンで読み取れば、レジェンドたちが実際に手を動かす映像も楽しめます。アナログな本の温もりとデジタルな躍動感が交差する時間は、まさに新しい休日の楽しみ方。それはテクニックの習得以上に、もっとシンプルに、豊かに生きるためのヒントを与えてくれます。
1月から発売される本書に続き、春には著者たちが来日するブックツアーも控えています。彼らの哲学に直接触れることができるのは、パタゴニア直営店での特別なイベント。まずは冬の穏やかな休日、この美しい装丁の一冊を手に取ってみてはいかがでしょうか。
一本の羽根から無限の可能性を見出す彼らの教えは、釣りを愛する人はもちろん、複雑すぎる現代に少しだけ疲れを感じているすべての大人たちを、自由で軽やかな場所へと導いてくれるはずです。
memo
『フェザントテイル・シンプリシティ:フライフィッシングを成功に導くレシピと技術』
価格:¥4,620
著者:イヴォン・シュイナード, クレイグ・マシューズ, マウロ・マッツォ
訳者:東知憲
発行:山と渓谷社
https://www.patagonia.jp/