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【Book】休日読書のススメ。今回は『マンモスの帰還と蘇る絶滅動物たち』。

あなたはどのくらい本を読みますか? 昔はよく読んだけど、今や仕事や家事に追われて全く読まなくなってしまった人も多いのでは。活字離れが進むなか、「休日の読書」にぴったりの本を紹介し、改めて読書の魅力を再発見するためのコラム。

Book Title
『マンモスの帰還と蘇る絶滅動物たち』。

目で、耳で、肌で自然を体感することが、アウトドアの何よりの楽しみであることは間違いない。ただその側面には、生息環境の悪化による動植物の絶滅危惧への心配が頻繁に取りざたされるようになってきたことも忘れてはならないだろう。

絶滅したマンモスを復活させ、ツンドラを走り回る日が来るのか?

この本は、〈MYSTERY RANCH(ミステリーランチ)〉や〈KAVU(カブー)〉などといった数々のアウトドアブランドを取り扱うエイアンドエフが出版。1万年前に絶滅したはずのマンモスから乱獲によって20世紀初頭に絶滅したリョコウバトまで、さまざまな絶滅種再生の現場を訪ね、研究者の魅力と危うさとを具体的に綴った科学ノンフィクションである。

環境破壊によって、地球上の多様な動植物たちを絶滅に追いやってきた人類は、将来に向けてまさにいま、その再生と種の創出に向けて新たな一歩を踏み出す時期を迎えている。

それは単に種の問題にとどまらず、ツンドラの崩壊をはじめ、アマゾンの森林破壊や海洋プラスチック問題などといった大きな環境問題にも通じるだろう。

「生物多様性を壊してきた人間は、それを増やす初めての種にもなれる(byオリバー・ライダー 遺伝学)」(本書より)

そう話す研究者の言葉は魅力的だが、人類はどこまで地球の自然と生き物の運命に大きな影響を及ぼしてよいのか。

最先端の研究を生み出す科学者たちの研究の実態を追い、私たちはどう生きるべきか、との根源的な問いを提起する本作。ページをめくるごとに知識欲を刺激し、これからのアウトドアライフとの関わり方を改めて考えさせてくれる、そんな1冊なのである。

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memo
『マンモスの帰還と蘇る絶滅動物たち』
価格:¥2,200+tax
著者:トーリル・コーンフェルト
監修:中村桂子
翻訳:中村友子
出版社:エイアンドエフ
発売:2020年7月30日(木)
https://aandf.co.jp/books/detail/mammoth